人里離れた秘境駅を巡る観光列車   
急行:飯田線秘境駅号  飯田→豊橋
2021年 11月22日(月)乗車_ 

 
人里離れた秘境駅を巡る観光列車

  飯田線の「人里離れた秘境駅を巡る」観光列車「飯田線秘境駅号」に乗車しました。この列車は、主に春と秋に運転され飯田線で主に列車でしか辿り着くことが難しい山間の駅を効率的に訪ね、スマホの電波も届きにくい山間の秘境にある駅もあるため毎回人気が高いです。この列車、11年前の運転開始当初も乗車しました。その時は、豊橋発天竜峡行の下り列車に乗車したので、今回は飯田まで運転区間が延びて初めての乗車で上り列車に乗ることにしました。理由は簡単で、休みが1日しかなく長野を6時9分に発車する特急しなの2号に乗っても、6時2分の北陸新幹線に乗り東京回りで東海道新幹線で豊橋へ行っても、豊橋始発の飯田線秘境駅号には間に合わないからです。
  
 
飯田から豊橋へ飯田線秘境駅号の始まり

 長野から快速列車・特急あずさ14号・豊橋行普通列車と乗り継いで飯田駅に到着しました。今日は生憎の雨模様ですが、飯田駅から豊橋駅まで急行飯田線秘境駅号に旅が始まります。
 飯田線秘境駅号は、団体客が7割ぐらい占めるのが当たり前の列車ですので、今日も飯田駅構内は団体客で賑わっています。改札を通り3番ホームへ行くとちょうど373系を使用した飯田線秘境駅号が入線してきました。雨模様ですが、ホームは記念写真を撮る人で賑わっています。
 写真撮影を終えて車内に入ると、指定された3号車の車内は一般用の号車なのか団体客らしき姿は見えませんでした。飯田から豊橋駅まで久しぶりの373系電車の旅です。特急用車両を使用した急行列車ですが、ちゃんと枕カバーも装着されています。今日は、朝の段階ではマルス上では満席になっていません。運よく私の隣も誰も居ません。
 今日は、朝方に鹿との接触があったのと雨の関係で少々ダイヤが乱れていて、この列車も13時13分の発車から13時19分ぐらいの発車となりました。先行列車が少々遅延しているようです。飯田駅社員や関係社員の方々に盛大に見送られて飯田線秘境駅号は飯田駅を発車します。雨はまだ止む気配がありません。それどころが雨脚が強くなっているようです。
 松川を渡り飯田市街地に別れを告げて飯田線秘境駅号は天竜峡を目指して走行します。天竜川を僅かに見ながら列車は進み天竜峡駅 に停車します。早くも天竜峡駅で乗務員の交代があります。飯田線秘境駅号が運行を始めた当初は天竜峡駅が発着駅でした。雨の天竜峡駅を発車して天竜川を渡ると「山紫水明の世界」に入り秘境駅巡りの旅が本格的に始まります。
 

始発の飯田駅
 

発車案内
 

ここから飯田線秘境駅号の旅が始まります
 

飯田線秘境駅号が3番線に入線
 

飯田駅3番線に停車中
 

ヘッドマークも幕の中に入っています
 

方向幕は「臨時」
 

編成後部
 

見送りの横断幕
 

社員の方々に見送られて飯田を発ちます
 

久しぶりの373系に乗車
 

373系座席
 

飯田を出て松川を渡ります
 

天竜川が見えてきます
 

天竜峡に到着
 

天竜川を渡ります
 
   
山紫水明の世界に入り秘境駅巡り

 天竜峡駅を出て天竜川を渡ると今回は、A席側が指定されたため天竜川などの見どころとは反対側の座席でした。正直、山ばかりで見どころもないので立ち寄った秘境駅の感想等をまとめました。
 雨の中の秘境駅訪問となりましたが、晴れの日とは違った雨の日らしい景色を楽しめました。
 
  
・千代駅(秘境駅ランキング20位)
 駅名標に触ると長生きができるという事で触ってみました。ただ、実際に私は長生きできるかは人生の最後まで解りません・・・(笑)。雨はしとしと降っているのと停車時間が4分と言う事で駅名標に触れたら車内へ戻ります。
 秘境駅と言われている割に意外にも近くに民家があります。ただ、駅舎はありません。昔は、天竜川から砂利を採取するための専用線があったそう・・・。
 

千代駅駅名標

千代駅停車中 

・金野駅(秘境駅ランキング6位)
 「自然の中で穏やかな時間が過ごせる」と車内放送で案内された金野駅は、駅名標に触ると金運が上昇するそうです。これは、雨脚が強かろうが触らない手はないです。無事に触れましたので、年末ジャンボ宝くじを買います。きっと当たると信じています。(まぁ、300円は当たるんですがw)
 この駅は、1日の乗降客が1人にも満たず集落も川を渡った先にあるという秘境駅なのですが、道路が整備されていて車で来ることもできるそうです。また、駅上には切り立った崖があります。こちらも停車時間が4分という事ですぐに車内へ戻ります。
 

金野駅駅名票
  

駅上の切り立った崖

金野駅停車中
  
  
(門島で交換列車待ち合わせ)
交換列車も遅れている。ここまで来れば遅れは気にせず心穏やかに旅を・・・
  
  
・田本駅(秘境駅ランキング5位)
 「絶景・絶壁の駅」と紹介された田本駅は、前後はトンネルに挟まれホームの背後は駅を造るために切り開いた山のコンクリート壁。反対側は天竜川渓谷の崖と言う、まさに山と川に挟まれた断崖絶壁の駅です。獣道のような道を歩くと集落があるようです。
 この駅では15分停車します。この駅の全景を見るために細い道を少し登りトンネルの上から見るのですが、密を避けるために見物は人数制限をしています。今日は、幸い?生憎?にも雨模様で乗客は皆傘をさしているのでソーシャルディスタンスは最低ラインの距離では万全でした。今日は雨で山々も霧がたちこめていて、雨の日ならではの幻想的な風景を見る事ができました。
 

田本駅に停車
 

田本駅全景
 

田本駅停車中

前後がトンネルに挟まれています
 
 
・温田駅(下り飯田線秘境駅号と交換)
 温田駅では、豊橋発飯田行の臨時急行飯田線秘境駅号と交換します。下り列車も遅延しているようで、こちらの列車が場内信号で停止して下り列車がホームに入り停車するまで待機します。下り列車が温田駅に入ると、こちら側の列車が通過します。こちらは止まりません。下り列車の乗客も手を振って見送ってくれました。
 

 下り飯田線秘境駅号と交換

 温田駅は通過します。(下りが退避)


・為栗駅(秘境駅ランキング13位)
 「陸の孤島の秘境駅」と案内された為栗駅(しでぐり)は、難読駅名でよく「ためくり」駅とか言われる事もあるようです。昔は、集落もあったようですが、現在は平岡ダムの完成でほとんどがダム湖に沈み駅付近は無人です。近くの天竜川に掛かる吊り橋「天竜橋」を入れて雨の日らしい幻想的な風景を楽しめました。
 この駅は、ホームが急なカーブになっているので車両とホームの間が「落とし穴」のように広く空いている場所があるので降車の際には足元に十分注意するように念を押すように数回放送がありました。
 

為栗駅に停車
 

為栗駅停車中
 

ホームと車両のドアが落とし穴のように離れています
 

天竜川と天竜橋
 
 
 
平岡駅で小休止(天竜村の大都会平岡)

 「天竜村の大都会」と案内された平岡駅は天竜村の玄関口の駅で秘境駅ではありません。かっては、平岡まで新宿や長野からの列車が辰野側から乗り入れていた中心地です。今は無人駅なってしまったそうですが、駅舎内には温泉施設や食堂などがあります。平岡では、15分ほど停車しますので列車も人も小休止です。駅舎外では地元の方々が特産品の販売などで歓迎してくれました。山間の場所なので雨が強かったのですが、ほとんどの人が特産品の販売場へ足を向けてました。それでも時間が余るので列車と記念撮影をしてもらいました。
 

平岡に到着
 

この駅で小休止です
 

記念撮影用ボード
  

雨は止む気配は無いです
  
  
雨の中の秘境駅巡りは続く

 平岡駅での小休止と地元特産品の買い物を終えて、飯田線秘境駅号は再び秘境駅巡りのため出発します。気持ち雨脚が強くなり心配ですが、もうここまで来れば豊橋まで行くしかありません。平岡駅を出て鶯巣駅を通過して4分程で後半戦最初の秘境駅となる伊那小沢駅に到着します。
 
 
・伊那小沢駅(秘境駅ランキング62位)
 「美しい景色を兼ね備えた駅」と案内された伊那小沢駅。実は、長野県民には春を実感させる重要な駅です。この駅にあるカンザクラは長野県で一番早く咲くと言われており、北信地方に住む私にとっては家の外は雪模様でも、ニュースで伊那小沢駅のカンザクラが咲き始めたと報道されるといよいよ冬も終わるかと安堵します。
 伊那小沢駅は、停車時間を短く構内踏切が発車1分前に閉まってしまうので反対ホームへ行かれません。反対ホームにカンザクラやポツンと公衆電話・天竜川・アーチ橋など見どころがあるのに残念です。この駅での停車時間を調整して列車はほぼ定時に伊那小沢駅を出ました。
 この駅は時間を調整しても反対ホームへ行かれるようにしてほしいです。構内踏切が作動する発車1分前を出発時刻とみなして案内しても・・・。
 

伊那小沢駅に到着
 

伊那小沢駅駅名標
 

・仲居侍駅(秘境駅ランキング10位)
 「天空の茶畑の駅」と案内されたこの駅ですが、なんと仲居侍駅までが長野県となります。長野県最南端の仲居侍ではお茶の生産が盛んです。ホームや山間の切り立った場所にありますが、意外にも民家が少し点在していて駅までの道も車で来ることもできます。雨も少し小降りになったような気もしますが、いまだに雨は降り続けています。

仲居侍駅に到着
  

仲居侍駅名標
  

列車は、長野県に別れを告げて静岡県へ

・小和田駅(秘境駅ランキング3位)
 静岡県最初の飯田線の小和田駅が「秘境駅のパイオニア小和田駅」と案内されるほど秘境駅の代名詞的な駅です。木造駅舎内には、引上げ窓の乗車券売場が懐かしくもあり新鮮に見えます。この駅の所在は静岡県ですが、対岸は愛知県。天竜川の上流は長野県と3つの県境駅となっています。佐久間ダム建設に伴い列車でしか到達する事が基本的にできない駅で、以前は20分ぐらい歩けば民家もありましたが移転したので周囲に民家もありません。一番近い民家はさらに山道を40分ぐらい歩かねばなりません。
 この駅には、製茶工場の廃墟や三輪自動車の朽ち果てた廃車体など見どころもありますが、あいにくの雨と言う天気に追い打ちをかけるように雨脚が強くなり駅周辺の散策は断念しました。これは次回リベンジしないと。
 

小和田駅に到着
 

小和田駅駅名標
 

小和田駅駅舎
 

大人気の小和田駅
 

小和田駅の旧駅名標
 

小和田駅からの眺め
 
  
天竜川を渡り秘境駅巡りは終了

 小和田駅を出ると、まだ秘境駅と呼ばれる駅はありますが、この列車での秘境駅巡りは終了です。残りは、下りの豊橋発飯田行の飯田線秘境駅号で見られるそうです。今日は悪天候も手伝って車窓も雨模様で暗いです。という事で写真に車窓が上手く残せないのが残念です。
 列車は、長いトンネルを通過して水窪川に沿って進みます。外もある天候も手伝って暗くなってきました。あまり良く見えないのが残念ですが、対岸へ渡りそうで渡らずに元の川岸へ戻る第6水窪川橋梁(S字橋梁)を渡ります。このあたりで、乗車証と記念マスクケースが配布されました。
 列車は、また長いトンネルを通過して佐久間駅を過ぎると天竜川を渡ります。飯田線で天竜川を渡るのはなんと2回のみです。1回目は、天竜峡から千代間。2回目が佐久間から中部天竜です。地元の飯山線も千曲川(新潟県側は信濃川)に沿って進みますが、実際に千曲川(信濃川)を飯山線が渡るのが1回だけと言うのに似ています。天竜川を渡ると中部天竜駅を通過。ただ、駅舎が反対側の車窓となるので遠目に見ただけでヘッドマークは確認できず・・・。
  

河内川を渡ります 

2回目の天竜川を渡ります 
 
 
夕闇迫る浦川駅で最後の停車

 「鮎釣りと鹿だらけの駅」と案内された浦川駅は、集落の中にあり秘境駅ではありません。この駅で最後の客扱いの停車となります。もう夕闇が迫る時間帯辺りは悪天候も手伝って暗くなってきました。これと言って特徴はありませんが、駅前の公衆トイレにパンタグラフが付いていて電車の形をしています。
 

浦川駅に到着
 

すでに夕闇迫る時間帯
 

側道から編成写真が撮れました
 

浦川駅に停車中に秘境駅号
 

駅前の公衆トイレにはパンタグラフが・・・

豊橋へラストスパート
 
 
「現実世界の入口」終着の豊橋へ

 浦川を出ると次は終点の豊橋まで止まりません。実際は列車交換で何回か停車しますが・・・。悪天候も手伝い車窓は夜となり景色もほぼ楽しめません。列車は、東栄から愛知県に入ります。湯谷温泉を過ぎてもう停車駅も無くあたりも暗くなり景色も見難く退屈な車内で唐突にクイズ大会が始まります。
 
 <クイズ>
 ・豊橋から天竜峡まで普通列車とタクシーどちらが早い?    答:タクシー
 ・豊橋から天竜峡までのタクシー運賃は?(飯田線は乗車券が2310円)  答え:約54.000円 
   
 この2問が出題されました。答えは、多分来年の運転でもこのネタを使うかも解りませんので・・・。来年乗ってみてください。

 列車は、闇夜を進み本長城で数分停車します。本長城を出ると新東名高速の下を3回潜り豊橋を目指します。暗かった車窓も次第に住宅地の明かりが増えてきます。新城を過ぎて、豊橋運輸区からお手製の「しおり」も貰いました。もったいなので使わずにきれいに保存させていただきます。三河一宮で交換待ちのため運転停車。三河一宮を出て東名高速をくぐると豊川に運転停車します。豊川駅ではホームの無い側線に止まるのが見どころです。最後まで見どころがあり嬉しい限りです。豊川を出ると大きくカーブして豊川放水路を渡り名鉄線を跨ぎます。さらにその先の平井信号場からは名鉄線との供用区間に入ります。すれ違う列車が名鉄の列車もある不思議な区間です。ここまで来れば「現実世界の入口駅」と案内された終点の豊橋は目前です。
 飯田駅を出てから約4時間40分。終点の豊橋駅に到着しました。明日は仕事なので、これから今日中に長野まで帰らねばなりません。飯田線秘境号と飯田線を完乗した余韻に浸ることは許されず新幹線ホームへ。やはり現実世界は厳しいものだと感じながら「こだま」で豊橋を発ちました・・・。
 
 今日はあいにくの雨模様でしたが、11年ぶりの飯田線秘境駅号の旅は初めての上り列車乗車も手伝って楽しかったです。今度は少し日の長い春の運転に乗ろうかと思います。この列車はA席側からの車窓も良いですが、車内放送も工夫されていて最高に面白い(このページでも使わせてもらっています)ので、実際に乗車して車内放送にも耳を傾けると秘境駅巡りの旅も一層充実するかと思います。ありがとうございました。
 

豊川駅ではホームの無い線で運転停車
 

豊橋目前では日も暮れ夜に・・・
 

豊橋に到着
 

長いようで短い飯田線に旅が終わりました
 

現実世界に戻りすぐに新幹線へ乗換

豊橋18:08発の「こだま」に乗り名古屋経由で帰路へ
 
 
急行券・指定席券と記念品

 飯田線秘境駅号は、大人気の観光列車で何回か挑戦してしてはみたのですが指定券は確保できませんでした。今回は、日曜と祝日の合間の平日となる11月22日(月)も運転がありました。
 飛び石連休の谷間となりますので、他の日よりも指定席券が確保できる可能性があると予想して1ヵ月前の10時に指定席券を申し込みしました。予感は的中して何とか指定席券を確保できました。
 おそらく座席表云々や付帯条件にA席なんて入れていたら間に合わないと思ったので、マルス任せでお願いしたのですが、出てきた指定席券は天竜川や景色の良いA席とは反対側の山ばかりのD席でした。確保できただけ良かったのですが、こうなると欲深くなるもので何回か座席位置変更を試みましたが、最後までA席側の指定席券を確保する事はできませんでした。(他の席なら通路側を中心に結構空きが出てました。)
 
 乗車記念品は、カードタイプの乗車記念証とマスクケースが貰えました。マスクケースは落ち着いたシンプルなデザインでしたので使わずに飾っておきます。この他に豊橋運輸区からお手製の「しおり」も貰えました。こちらも大切に保存しておこうかと思います。
 乗車記念品ではありませんが、豊橋運輸区の特製スタンプも押してもらえました。急行券にも押してもらえるようでしたが、私はメモ帳の裏に綺麗な状態で押してもらいました。

豊橋運輸区乗車記念しおり(お手製)
  

飯田線秘境駅号急行券・指定券
 

豊橋運輸区記念スタンプ
 

乗車証明書(表)
 

乗車証明書(裏)
 

マスクケース(表)

マスクケース(裏)
 
2011年9月に乗車した「飯田線秘境駅号」の乗車記はこちら