ありがとう!SL人吉  
快速:SL人吉  熊本−鳥栖_
2023年12月17日(日)乗車_ 


引退間近の101歳のSL列車に乗る

 SL人吉号を牽引する蒸気機関車8620型蒸気機関車(58654号機)が来年の3月で運転を終了します。これまでSL人吉号は1度も乗ったことが無くこのまま乗らずに終了してしまうのかと思っていました。ただ、何もせずに後々後悔するのも嫌のなので6月から指定席券の確保に動きました。ただ、そんなに甘くは無く夏が過ぎ秋が終盤となる頃にようやく指定券が確保できました。このチャンスは絶対に逃してならないと、できうる限りの交渉と調整をしてJR九州を走る最後のSL列車となったSL人吉号に乗りに行くことになりました。
 災害で不通となっている肥薩線での乗車は叶いませんでしたが、最近101歳の誕生日を迎えた8620型蒸気機関車(58654号機)が牽引するSL列車で鹿児島本線の旅を楽しみました。
 なお、58654号機が牽引するSL列車の惜別乗車は2005年8月のSLあそBOY号に続き2回目です。
  
 
いよいよ念願のSL人吉に

 久しぶりにやってきた熊本駅。前回来たときは地上駅でしたが、駅も新築されて高架になりました。昔より狭く感じる在来線ホームの6番線には大勢の人が・・・。10時50分少し前ぐらいに58654号機に牽引されたSL人吉が入線してきます。入線から発車まで10分弱と忙しいです。先頭部は、撮影の人で混雑はしていますが、JR東日本みたいに激パになるほどではありません。
 あまり時間は無いので58654号機の先頭だけ撮影だけして車内へ。

上り列車始発の熊本駅
 

発車案内
 

熊本駅には発車10分前に入線
  

ヘッドマーク
  
 撮影も手早く終えて車内へ入ります。まずは展望室へ行って58654号機を撮影。それから指定された座席へ。進行方向右側の窓側という素晴らしい場所でしたが・・・。指定された3号車9番のボックスは・・・。狭い。驚くほどの狭さです。横幅ではなく前後の間隔が。テーブルも満足に設置できないようで折りたたみ式になっています。荷物を置いて座席に座るともう前の人と膝が接触する狭さです。今日は満席ですのでこのボックスも4人で利用します。家族連れなら大丈夫でしょうが、全員他人だと横幅より前後幅が窮屈です。
 58654号機の汽笛が鳴り響きSL人吉は熊本駅を発車します。放送の通り満席です。空席はありません。乗客は、外国人が半分位乗っています。SL人吉の指定券は中々確保できないプラチナチケットとなっているので、あらかじめ旅行会社が指定券枠を抜いているのでしょうね。これでは日本人が頑張ってもなかなか指定券が買えないはずです。列車は九州新幹線と寄り添い高架化された鹿児島本線を熊本市街地を見ながら進みます。SL列車で高架線を進むのも変わった体験です。やがて高架を降り九州新幹線と分かれて右へカーブして田園地帯を進みます。車内も落ち着いた頃に車内を見て回ります。2号車のビュッフェはまだ営業開始前ですが大勢の人が並んでいます。ここを通り抜けるのに苦労しましたが3両全て見てきました。
 ようやく車内を見て回り座席に戻ると列車は菊池川を渡り玉名に到着します。
 

本日は3号車に乗車
 

展望台から58654号機を見る
 

展示用ショーケース
 

熊本を発車
 

車内の様子
 

鹿児島本線を北へ
 

展望室から見た車内

SL文庫

菊池川を渡り玉名へ
 玉名駅では撮影のため10分ほど停車します。ここで先頭の撮影をします。熊本駅より空いていて撮影にも余裕があります。時間の都合で熊本では撮影できなかったサボや後部のDE10 1209を撮影していると時間もすぐに過ぎてゆきます。撮影時に時折雪が舞っていたのは驚きました。九州でも雪は降りますが12月中旬に雪がちらつくとは・・・。
 玉名駅を発車したSL人吉は、市街地を抜けて田園地帯を進みます。この頃になると50系客車の宿命で窓ガラスが曇って車窓が見にくくなります。長州駅を通過すると反対側の車窓には有明海が近くに見えるかと思いましたが確認は至りませんでした。その後列車は北上し荒尾市街に入り荒尾駅を通過します。荒尾から先は市街地を進みます。諏訪川を渡っても市街地は絶えること無く続き大牟田に停車します。
 大牟田での停車時間は4分です。編成写真が撮れそうな駅は大牟田しかありませんので反対ホームへ行って撮影してトンボ帰りで戻りました。
  

玉名駅で少々停車
 

玉名駅停車中
 

58654号機プレート
 

玉名駅にて
 

SL人吉サボ
 

SL人吉ロゴマーク
 

後部はDE10 1209
 

大牟田駅にも少々停車
 
 大牟田を出ると2号車のビュッフェも空いていてビールを購入。自席へ戻って寛ぎます。隣の人は、あまりの狭さに前の人と膝が接触するのに嫌気がさしたのかフリースペースへ移動してしまいました。ただ、座席に荷物が置かれたままなので横にずれることは出来ず相変わらず前の人と足を引っ込めた状態が続きます。市街地を抜ける銀水まで西鉄と併走して列車は進みます。SL人吉に車内でビールを飲んで寛げるのも最初で最後です。時折、58654号機の煙が車窓から見えて良い雰囲気の中を地ビールを楽しめました。列車は、瀬高駅を通過して九州新幹線と併走して進みます。矢部川を渡り筑後船小屋駅を通過します。この後も延々と九州新幹線と並行して進みます。
 荒木を過ぎて久大本線が見えてくると久留米に停車します。
   

SL模型展示ケース
 

地ビールで休憩
 

58654の煙を見ながら一杯
 

今日は寒いので煙も見えます

九州新幹線と平行

筑後船小屋駅通過
 久留米でも10分ほど停車します。もうここまで来るとホームに降りて撮影する人も少なくスムーズに撮影できました。久留米でも撮影中に雪がちらついていました。
 久留米を出ると筑後川を渡り田園地帯を進みます。肥前旭を通過すると九州新幹線と分かれて田園地帯を進みます。車窓が突如として市街地に変わると終点の鳥栖に到着します。
  

久留米で少々停車
 

久留米駅停車中
 

筑後川を渡ります

間もなく終点の鳥栖
 

鳥栖駅でSL人吉の撮影

 鳥栖駅到着後は、引き上げまで10分ほどあるので形式写真を中心に撮影します。鳥栖駅でようやくゆっくりと撮影できます。58654号機から順に客車3両と後部のDE10 1209まで撮影します。改造されているとは言え50系客車は久々に撮影しました。こうしてみるとSLあそBOY時代の面影も随所に残っています。
 鳥栖駅到着からちょうど10分でDE10 1209に引かれたSL人吉は留置線へ引き上げてゆきました。

鳥栖駅に到着
 

鳥栖駅に到着
 

58654号機
 

3号車:オハフ50 702
 

2号車:オハ50 701
 

3号車:オハフ50 702
 

DE10 1209

DE10 1209が先頭で留置線へ
 

熊本への戻りはDE10が引くSL人吉

 鳥栖から熊本への折り返しもSL人吉に乗車します。SL人吉とは言えDE10が先頭で58654号機は最後部に連結された状態です。この列車ではSLがライトを点けた状態の先頭で撮影できるのは鳥栖駅入線時のみですのでホーム端で入線を待ちます。鳥栖駅は長崎本線の特急が走っている関係でホームが空かず入線は発車の8分前と言う慌ただしさです。
 もう鳥栖駅入線シーンを撮影できたので58654号機の撮影はせずに先頭のDE10 1209の撮影だけします。乗客の皆さんはSL側に集中しているのでこちらはゆったりと撮影できました。

下り列車始発の鳥栖駅
 

発車案内
 

58654号機が先頭で入線します
 

帰路となる熊本行はDE10 1209が先頭
 
 帰路は、2号車の進行右側で窓側の席です。2号車の座席は普通の12系と同じぐらいの前後間隔があり快適に座れます。この列車も発売時は満席でしたが、そのうちに空席が出てきました。ただ、車内は空席がかなり目立ちます。
 鳥栖駅をDE10に引かれて発車したSL人吉は鹿児島本線を熊本を目指して進みます。往路のSL牽引と違いDL牽引だと滑らかな加速です。列車は西日を浴びながら進みます。しばらくすると九州新幹線と併走して進みます。今回は反対側の車窓ですので車窓はよく見えます。ただ、やはり窓ガラスが曇って車窓がよく見えません。夕日が美しく反射する筑後川を渡ると久留米に停車します。久留米の停車時間は1分でホームに降りる暇はありません。
 久留米を出ると新幹線と併走して筑後船小屋を通過して九州新幹線と分かれて瀬高で運転停車します。しかも3分。この時間にホームに降りれれば良いのですがね。瀬高を発車して田園地帯を進みます。しばらくして市街地が見えてくると大牟田に停車します。大牟田の停車時間も1分です。
  

2号車の座席
 

2号車のボックスは広い
 

鳥栖駅停車中
 

鳥栖駅を発車
 

筑後川を渡ります
 

瀬高駅に運転停車
 
 大牟田を出て列車は有明海の近くを通りますが、残念ながら有明海を車窓から見つけることはできませんでした。しばらく有明海の近くを走行して大きく内陸に入ると長州を通過します。この列車は停車する全ての駅で停車時間が短くホームに出る時間はありません。ただ座っていても暇なので展望室へ行くと誰も座ってません。ちょうど西日が射して良い感じの展望室を撮影できました。帰路のSL人吉での唯一の収穫はこの光景が撮影できたことでしょう。
 列車はのんびりと進み玉名を過ぎて少しするとだんだんと車窓も夕闇となり車窓も見えなくなります。車内では、客室乗務員の方がキャンディーを配っています。夕暮れの中を列車は進み夜汽車の雰囲気まであと少しと言うところで列車は熊本市街に入り九州新幹線と共に高架を進み終点熊本に到着します。
 

3号車展望室
 

西日が入り良い感じ
 
 
夕暮れ時になります

記念撮影用パネル

車内ものんびりした雰囲気
 
SL人吉の旅が終わり・・・

 終点熊本に到着するとまずは後部の58654号機の撮影をしますが、途中の停車駅で撮影できる時間は皆無でしたので凄い人だかりで1枚撮影しただけで断念。後は先頭のDE10 1209の撮影に回ります。SLではありませんが、ディーゼル機関車のDE10も貴重です。
 熊本駅に到着してから10分でDE10に牽引されたSL人吉は基地へ引き上げて行きました。夕闇の中を遠ざかる58654号機のテールランプを見送りSL人吉の最初で最後の旅は終りました。これでもう九州で蒸気機関車が牽引する列車に乗ることは無いでしょう。
 SLあそBOYに続いて2回目の本線上を走る58654号機との別れとなりました。
  

熊本に到着
 

最後部は58654号機
 

引き続きDE10 1209が先頭で基地へ

車内で配られたキャンディー
 
指定席券と乗車証

 この列車は、本当は夏休みに乗りたいと思って計画をしていました。ところが引退が発表されると指定席券はプラチナチケットとなり一気に入手困難になりました。乗れそうな日の1ヶ月と7日前5時30分にSL人吉号のSl牽引の鳥栖行に絞ってe5489サービスに事前予約を入れまくりました。「えきねっと」は、JR九州の列車は事前予約の対象外なので話になりません。
 いくら事前予約をしたと言っても確実に指定券を確保できる訳ではありません。来る日も来る日も満席回答が続き夏が過ぎ秋になっても状況は改善せず、ようやく事前予約できて歓喜の声を上げることができたのは秋も終盤の日で乗れるのは冬の12月でした。しかも、SL牽引列車で進行方向窓側の指定席でした。
 さて、DLが牽引してSLが最後部になるSL人吉号の熊本行は、SL牽引の鳥栖行の指定券を確保した後に月曜日が休めることが確定した12月から指定を探しました。当初は満席でしたが、一週間前に通路側の席を確保して前日に進行方向窓側に変更できました。ここまで本当に長い戦いでした。
 

SL人吉(上り)指定券

SL人吉(下り)指定券
 
 
 記念乗車証(スタンプ台紙)は通常配布デザインの他にラストイヤー用の特別デザインの乗車証(スタンプ台紙)用意されました。上り列車と下り列車でデザインが異なり全種3種類集めるには往復乗らないと集められないように見えますが・・・。
 実際は、上り列車は玉名駅発車後に、下り列車は全区間で2号車のカウンターの端に3種類全て置かれていました。片道だけの乗車でも3種類集めることが可能な状態でした。一応1人各種1枚限りと書いてはありました。
 私の場合は往復乗ったので、往路3種類。復路3種類で6枚入手はできるのですが、同じものが何枚もあっても仕方ないので3種類1枚づつ貰っておきました。
 

SL人吉乗車証(スタンプ台紙)
 

左側乗車証の裏面(スタンプ台紙)
 

ラストイヤー用乗車証(上り)
 

左側乗車証の裏面(スタンプ台紙)
  

ラストイヤー用乗車証(下り)
 

左側乗車証の裏面(スタンプ台紙)