碓氷峠協調運転

 EF63型電気機関車と協調運転を行った車両(169系・489系・189系)には、EF63型電気機関車と車両(電車)をつなぐジャンパ連結器(KE70型19芯)を使用していました。これは、機関車と電車の相互間で「力行」「抑速」「非常(協調用)」などの信号を相互に伝達させ、EF63型電気機関車からの信号で電車側の走行も制御していました。また、下り列車(長野方面行)として運転する際には、電車側の運転士が信号確認や前方の注視を行うため、インターカム(連絡回線)も設置されています。このため、EF63型電気機関車が編成後部に連結される下り列車(長野方面行)の電車の運転士は、横川−軽井沢のみについては、前方の注視と信号確認を行うのみで基本的に運転操作はしませんでした。反対の上り列車(上野方面行)は、編成の先頭にEF63型電気機関車が連結されたため、計器類の注視のみ行っていました。
 協調運転できる電車(末尾9)には、91線と92線を全車に通しておりEF63型電気機関車の「協調運転設定スイッチ」から出た信号(電源)が、91線を通り各車両の協調リレーに電源が入り、編成最後部の運転台側まで達します。最後部の運転台で「横軽スイッチ」(上り列車(上野方面行)は、「戸閉め「後」)を入れると、信号が92線を通り各車のリレーを伝わりEF63型電気機関車に信号(電源)が戻り、これで協調運転が可能になりました。
 ただ、編成中に1両でも非協調車や不具合車があると、信号がEF63型電気機関車まで戻らずに協調回路が構成されず協調運転はできません。過去に、私も1度だけ横川駅でこの不具合に遭遇し「車両点検」→「運転打切」になりました。
 また、協調運転中に電車側で、万が一にもマスコンキーを入れた場合や車掌弁を引いた場合は、92線から協調用非常回路に信号が伝わり「協調用」の非常ブレーキがかかりました。常用の非常ブレーキだと衝撃が大きくなり、連結器や車両の破損・浮き上がり脱線を防ぐためで空気の排出を絞り急にブレーキが掛からないようになっていました。
 幸か不幸か、1994年の夏(7月)に特急白山号(489系)の火災報知機が誤作動して碓氷峠区間で停車しましたが、感覚として車に乗っていて信号が青から黄色に変わり、行ってしまおうか止めようかと迷ってやはり止まると言う感じの止まり方でした。(停車直前でも、急に「カクン」と言う止まり方ではありませんでした。)
 なお、碓氷峠を通過する車両には「横軽対策」が施されました。碓氷峠を通過する車両はこの対策を施していないと通過することはできませんでした。対策を施した車両にはGマークが車両番号の前に付けられました。具体的は、[●クハ189-1]の「●」です。この「横軽対策」は、協調運転を行う169系・489系・189系にも施されています。その他、横軽周辺に配置された115系・165系・183系と広範囲運用の12系・14系など。
 −横軽対策−
  ・台枠・連結器の強化
  ・緩衝器容量の拡大
  ・非常ブレーキ吐出弁絞り追加
  ・横揺れ防止装置の追加
  ・空気バネ台車装備車両に空気バネパンク装置の追加

   
●EF63型電気機関車連結位置(電車・気動車)
   
←上野(横川) 長野(軽井沢)→
EF63(本務) EF63 電車(協調は12両まで/非協調は8両まで)・気動車(8両まで)
  

※489系も基本的に同じです。(169系は多少相違があるかと思います)
  
※このページは専門外ですので、誤りがあれば修正・加筆します。
 



   
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