快速:SL銀河号  釜石-花巻
2018年 6月17日(日)乗車_ 


 釜石線を走るC58 239が牽引するSL銀河号には運転開始当初から乗りたいと思っておりましたが、岩手県は中々遠くその機会はありませんでした。そして、今回は秋田へ行った帰路で時間が空いたので釜石から花巻までようやく乗るチャンスが巡ってきましたので乗ってきました。
 すでに乗った知人の方々が非常に良かったと言っていましたが、本当にその通りで新緑の釜石線をC58が引くSL列車に揺られてゆったりした旅ができました。
  
Ⅰ.釜石出発前
 今回は、釜石線の始発列車で釜石に到着したのでC58の点検と給水・給炭の光景からキハ141系のエンジン始動から点検。続いてC58の構内入換から連結作業まですべて見ることができました。見学スペースと言うわけではないでしょうが、一般の人も通れる喫煙所へ行く通路から編成写真も撮影できて始発で来て本当に良かったと思いました。釜石駅でSL銀河号の編成写真が撮影できたのは大きな成果となり、その後はどこで編成写真が撮れるだろうと気にすることなくゆったりとSL銀河号の旅を楽しめました。

9:20頃に車庫から出し石炭と水を補給
 

9:30頃にキハ141-700番台のエンジンを始動して点検
  

10:00頃に入換を開始
 

バックで1番線へ
 

連結前に一旦停止
 

キハ141-700番台に連結
 

C58 239連結完了
 

編成写真も撮影完了
 
   ※入換移動の動画はこちら
Ⅱ.釜石から遠野へ
 入換の撮影も終えていよいよSL銀河号に乗車します。ついに待ちに待った瞬間です。ホームに行くとSL銀河号が発車を待っています。最初に空いている先頭部で撮影して指定された2号車に乗車して荷物を置き1号車へ行って「プラネタリウム」鑑賞整理券をもらいます。第1回の整理券を渡されましたので発車後すぐの鑑賞になります。
 再び自席に戻り発車を待ちます。釜石から遠野までは空いているという話は聞いていましたが本当に空いています。それでも、盛岡からの快速はまゆり号が到着すると何名かこちらに歩いてきて乗車します。
 
 そして11時55分、C58の汽笛とディーゼル機関車みたいなキハ141の警笛が響き渡り地元の方の大漁旗に見送られて発車・・・。しない。何かあったのでしょうか。社員の方がSLの方へ走ってゆきます。数分して無事に動き始めました。少し心配しましたが、無事にSL銀河号は釜石を発車して花巻への旅が始まります。運転見合わせ中の山田線と別れて列車は西へ移動を始めます。SL銀河の旅は始まったばかりですが、プラネタリウムの鑑賞の時間ですので1号車へ移動します。時間が来てプラネタリウムの中へ。少し狭いですが全員座った所で上映開始。撮影もできませんし詳しくは書きませんが、「銀河鉄道の夜」の要所要所の部分を編集して10分程度の映像にしてあります。これを見れば、だいたい「銀河鉄道の夜」のストーリが解るようになっています。内容は結構面白くて見入ってしまい10分はあっと言う間でした。
 プラネタリウム鑑賞後は、売店へ行って、「はまゆりエール」(ビール)と「遠野牛弁当」を購入します。時折、梅雨の晴れ間で太陽も出てC58の汽笛を聞きながら大変贅沢なひと時を過ごします。列車は順調に進み陸中大橋に到着します。ここで峠越えに備えて10分ほど停車します。陸中大橋を出ると峠越えに挑みます。列車は、左へカーブをし続け気が付くと眼下に先ほど停車した陸中大橋駅が見えてきます。その後もトンネルをいくつも抜けて山間部を縫うように走ります。おそらくこのあたりでキハ141がC58を押しているだろう区間です。しばらくして視界が開けてきたかと思うと上有住駅に停車します。上有住では5分ほど停車して動輪周りを検査します。上有住を出るとトンネルに入り右へカーブし続けます。トンネルと山間部を列車はゆっくりと進みます。車窓に集落が見えてくると足ヶ瀬駅に運転停車します。C58に点検作業を行います。運転停車ですのでドアは開かずホームには降りれません。足ヶ瀬駅を出るとしばらくして山間部を抜けて田園地帯を進みます。早瀬川と並行して列車は進み田園地帯や集落を通過します。この辺りは結構速度が出て快調に飛ばします。青笹駅を通過してもう一度、早瀬川を通過すると市街地が広がり遠野に到着します。
  

釜石駅発車案内
 

釜石駅停車中
  

編成後部
 

釜石駅を間もなく発車
 

ヘッドマーク
 

C58 239プレート
 

陸中大橋に停車
 

陸中大橋にて
 

上有住に停車
 

上有住にて
 

足ヶ瀬に運転停車
 

SL点検のみでホームに出られません
 

遠野に到着
 

遠野で1時間13分停車
 

釜石を大漁旗で送られ発車
 

新緑の釜石線を進みます
 

車内で遠野牛弁当を購入
 

SL車内で贅沢な昼食のひととき
 

SLの煙も車窓の楽しみ
 

早瀬川を渡り遠野へ
 
 
Ⅲ.遠野で小休止・観光
 遠野駅では1時間13分停車して一旦C58を切り離しホームの無い場所へ移動。そして車両点検と給水などを行います。この間、客車(気動車)はホームに停車したままなので自由に車内にいる事もできますし、改札で指定券と乗車券を見せて改札外へ出ることもできます。私は改札の外に出ました。
 遠野駅の駅前広場には、ツツジの花が見ごろとなっていて、その前の池には河童(銅像)が寛いでいます。駅前に広場から10分ほど歩くと「とおの物語の館」があります。昔話を映像や音声で楽しむことができる「昔話蔵」や、語り部による昔話を聞くことができる劇場「遠野座」があります。ちょうど、良い時間に語り部があるようですが途中退室も悪いので別の機会に・・・。「とおの物語の館」は、遠野で語り継がれてきた昔話の世界を見たり触れたりしながら体験・体感できます。ただ、タッチしても反応しないコーナーもあり少々残念でした。絵本コーナーも充実していて大人より子供が楽しめる施設かと思いました。
 「とおの物語の館」の近くに遠野城下町資料館もあります。こちらは、遠野南部氏1万2千石の城下町として発展した江戸時代の遠野の様子を紹介しています。
 短い時間ですが、遠野の観光も楽しみ駅に戻ると、あと10分でSL銀河号の発車時刻となります。遠野駅近くの2施設を見学するのにちょうど良い停車時間のようです。

C58 239は切り離されます
 

ホームの無い場所で点検と給水・灰捨て
 

遠野駅
 

駅前広場ではカッパ(銅像)が寛いでます
 

とおの物語の館
  

遠野城下町資料館
 
 
Ⅳ.遠野から花巻へ
 遠野から再びSL銀河号の旅を再開します。遠野からは乗客が増えました。とは言え空席は多いですが、遠野観光の帰りに利用するには良い時間帯のようです。列車は、猿ヶ石川を渡り昔懐かしい田園地帯を進みます。初夏の一番いい季節、SL列車に乗って新緑の日本の現風景のような場所を走行します。それにしても車内は結構暑いです。売店でアイスクリームを購入しましたが、カチカチですぐには食べられそうもないです。列車はしばらくして再び山間部に入ります。山間部を抜けてすぐに有名撮影地である宮守川橋梁(めがね橋)を通過します。今日も何名かが撮影していました。めがね橋を過ぎるとすぐに守宮駅に到着します。SL点検のため7分ほど停車します。
 宮守駅を出ると右に左にカーブして田園地帯を進みます。そして山間部に入ったりと忙しいです。列車は、先ほどから釜石街道と並んで走行しています。自動車から手を振ったりスマホで写真を撮る方も多いです。さらに並行する猿ヶ石川には水力発電所も見えます。ちょうど、このあたりで先ほど購入したアイスクリームが食べごろとなります。アイスクリームを食べ終わるころに猿ヶ石川と別れて列車は田園地帯から市街地に入り土沢駅に到着します。4分停車ですが、この駅では編成写真が撮影できるので先頭部で待機します。到着と同時に反対ホームへ向かい編成写真を撮影します。列車交換があるので撮影は手早く行います。とは言え2分もあれば十分に撮影は完了します。対向列車が到着する頃にはすでに座席に戻っています。土沢を出ると列車は田園地帯を走行します。大きく左にカーブすると新幹線の高架橋が見えてきます。そして列車は新花巻駅に到着します。さすがは新幹線乗り換え駅ですので大勢の方が下車します。私も新花巻で下車した方が早いのですが、最後まで乗車したいので花巻まで乗ります。新花巻を出た列車は、田園地帯を進み北上川を渡ります。さらに田園地帯を走行して左にカーブすると電化された東北本線が近づいてきて終点の花巻に到着します。
 
 花巻到着後は、回送列車で盛岡へ戻ります。キハ141系のエンジンが起動しライトが点灯すると回送準備が整います。機関車のような警笛を鳴らし回送列車が花巻を発車して盛岡へ向かいます。気動車の後ろには先ほどまで先頭を走っていたC58が後ろ向きにぶら下がっています。何か不思議な光景を見たような気がするSL銀河号の旅の終わりでした・・・。 
  

遠野駅停車中
 

C58 239も出発準備完了
 

宮守駅に停車
 

宮守駅にて
 

土沢駅に停車
 

土沢駅にて
 

新花巻駅に停車
 

終点:花巻に到着
 

キハ143-701が先頭で盛岡へ回送
 

C58 239は最後部になります
 

遠野を発車
 

猿ヶ石川を渡り宮守へ
 

懐かしい風景が続きます
 

チョコ南部アイスクリーム
  

宮守川橋梁を通過
 

新花巻駅に到着
 

北上川を渡り花巻へ
 

田園地帯をラストスパート
 

東北本線が見えると花巻です
 
   
Ⅴ.SL銀河号編成
 SL銀河号は、C58 239がキハ141系700番台が使用されます。SLが気動車を牽引する珍しい列車です。気動車の方は、JR北海道から購入したキハ141系を改造して使用しています。元は、50系客車を改造した気動車ですので見た目は違和感がほとんどありません。なお、盛岡-花巻間の回送区間は気動車が逆向きのC58を牽引する形で回送されます。また、勾配区間(陸中大橋から足ヶ瀬の仙人峠)では、気動車の動力も使用した協調運転が行われます。気動車も外観は、銀河鉄道の夜をモチーフにして4号車から1号車まで異なる濃度のグラデーションを施し夜から夜明け前の空をイメージしています。また、それぞれの車両には星座がシンボル化されていて、1号車:さそり座、2号車:いて座、3号車:わし座、4号車:はくちょう座となっています。
 内装は、大正・昭和の世界観をイメージして、「東北の文化、自然、風景の旅へ」をコンセプトに、床面や側壁を木目調にして通路には赤いじゅうたんが敷かれています。南部鉄器をイメージしたの荷物棚や窓上にはステンドグラス風の飾り照明、窓間にはガス灯風ランプを採用して宮沢賢治が活躍した大正から昭和初期をイメージし作りになっています。また、ボックス席には各星座をモチーフにしたパーティションで区切られており開放的ながらも個室のような雰囲気も漂います。窓は、JR北海道時代からの二重窓ですが、ブラインドはカーテンに変更されて高級感が増しました。
 また、この列車は宮沢賢治や銀河鉄道関係のギャラリーも充実しており1車両でも多くのスペースを取っており、長いSL列車の旅でも飽きる事はありません。まず、1号車は、「月と星のミュージアム」「銀河コレクション」とプラネタリウムが設置されています。プラネタリウムは鑑賞には整理券が必要です。こちらは撮影ができませんが、小説「銀河鉄道の夜」の良い所をつなぎ合わせて10分ほどの物語風にして上映しています。(JR東日本ホームページ「のってたのしい列車」内の「SL銀河」コーナーに画像があります。)続いて2号車は、「宮沢賢治ギャラリー」(イーハトーブ賢治)となっています。この車両にはトイレも付いています。3号車は、「宮沢賢治ギャラリー」(銀河鉄道の夜)となっています。4号車は、一番座席定員の少ない車両で、「宮沢賢治ギャラリー」(アーティスト賢治)と「SLギャラリー」・売店と多目的トイレが設置されています。
  

牽引機:C58 239
 

1号車:キハ142-701(さそり座)
 

2号車:キサハ144-702(いて座)
 

3号車:キサハ144-701(わし座)
 

4号車:キハ143-701(はくちょう座)
 

1号車先頭部サイド
 

SL銀河エンブレム
 

SL銀河号サボ
 

SL銀河号車内
 

SL銀河号座席
 

ステンドグラス風の飾り照明
  

南部鉄器風の荷棚
 

ガス灯風ランプ
 

窓は種車時代からの二重窓
 

案内ディスプレイ
 

アーティスト賢治(4号車)
  

SLギャラリー(4号車)
 

ソーシャルデザインと賢治(3号車)
 

ソーシャルデザインと賢治(3号車)
  

ガチャガチャと貸出用本(2号車)
 

イーハトーブと賢治�(2号車)
  

銀河コレクション(1号車)
 

銀河コレクション(1号車)
 

月と星のミュージアム(1号車)
 

プラネタリウム上映予告(1号車)
  

プラネタリウム鑑賞整理券
 

 
Ⅵ.指定席券・記念品
 2014年に運転を開始した当初は、指定席券の入手も難しく特に新花巻-遠野間を含む指定券はプラチナチケットと言われた時期もありましたが、現在は落ち着いてきたのか指定券の入手はそれほど難しくもなくなりました。座席位置さえ選ばなければ当日でも余裕で購入できます。この列車の進行方向窓側は、釜石行(往路)はA席。花巻行(復路)はD席となります。本日は、花巻行に乗車しましたのでD席を選択しました。
 乗車記念品は、記念乗車証(年度ごとにデザインを変更)が貰えます。この配布方法が珍しく同一の列車ながら、釜石-遠野で1枚。遠野-花巻で1枚貰えます。デザインは異なります。釜石-遠野と遠野-花巻まで乗り通した場合は2枚貰えます。
 なお、乗車した日は「父の日おもてなし」でSL銀河号のペーパークラフト(SL・客車)が乗客全員に配布されました。 

SL銀河号指定席券
 

乗車証(釜石から遠野で配布)
 

乗車証(遠野から花巻で配布)
  

裏面は共通
  

父の日記念ペーパークラフト(C58)
 

父の日記念ペーパークラフト(キハ143-701)