さよなら信越線碓氷峠 ロマンチックファイナル‘97  
特急マリンシティーあさま号  長野−(新宿)−横浜
1997年 9月20日(土)乗車_ 
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  長野行新幹線の開業も目前となった9月の週末に横浜から長野まで直通運転する特急あさま号が設定されました。横浜から新宿を経由して長野へ運転される設定で、列車名も「マリンシティーあさま」として運転されます。車両自体は、長野総合車両所の189系9両が使用され運転日(土曜日)の深夜に長野から回送で送り込まれての運転で首都圏側の旅客に対応した運転となりました。
 とは言え、有りそうで無かった特急あさま号の横浜発着列車は乗車しておきたいので帰省の日を調整して乗車することにしました。
 この列車は、自由席が連結されていますのでいつでも乗車はできるのですが、やはり撮影等を考えると指定席を確保したいと思いましたが、乗車できる日がなかなか決まらず前日に指定席券を購入しようとしましたが、はやり軽井沢から満席という事でした。グリーン車なら横浜まで窓側にも空席があるとの事で最初で最後の横浜行の特急あさま号の乗車はグリーン車でも良いかと奮発してグリーン車を選択しました。特急料金にグリーン券の4000円加算は大きな出費となりましたが、乗車時間が4時間1分と長丁場ですので快適なグリーン車もありかなと思いました。学生時代は一度も足を踏み入れない車両でしたし・・・。
 
 
T.長野から横浜まで直通の「あさま号」の旅

 長野駅には15時ごろ到着しました。先行の15時16分発の特急あさま24号が発車して長野駅構内の発車案内が「臨時特急 15:31 横浜」に変わり少しすると7番線に長野総合車両所から189系N106編成が「マリンシティーあさま」のシール式ヘッドマークを先頭に入線して来ました。横の方向幕は「特急あさま・横浜」と幕回しの時以外見る事の無かった表示がしっかりと表示されています。特急あさま号運転終了まで残り10日ほどになりましたので、列車の前後では鉄道ファンを初めとして一般の方々も盛んに撮影しています。発車までは10分程と言う事で手早く撮影します。長野駅での撮影を終えて4号車に乗車します。普段は乗ることなど無いグリーン車です。通路には絨毯が敷かれバケットタイプに改造された重厚な茶色のシートが並んでいます。肘掛けにもリネンが付いていてやはり4列ながら上等な車両は違います。長野を出る時点では指定席も自由席も空席が多く余裕があります。この列車は、大宮までは臨時特急あさま84号と同じ時刻で運転されます。ただ、大宮から先は上野駅には向かわず新宿を経由して横浜まで運転するだけです。東京都内までなら目的によって変わりますが便利な場所もあります。ただ、上野へ入らないと案内が入るだけで自由席から何名か降りてしまいました。そんな感じですので自由席も余裕があります。
    
 
 15時31分、定刻に特急マリンシティーあさま号は長野駅を発車しました。グリーン車だと旅立ちの雰囲気も優雅に感じます。普段乗る7号車から9号車(自由席)とはえらい差です。裾花川を渡り安茂里を通過すると犀川橋梁を通過します。この列車は、篠ノ井には停車しませんので通過します。篠ノ井線と分かれて残り僅かとなった信越本線を快調に飛ばします。千曲川橋梁を渡り屋代を通過すると戸倉に停車します。戸倉からはグリーン車の乗車は無く発車。国道18号線に沿って189系は進みます。9月も中旬から下旬に入っているので早くも西日が射してきます。しばらく走行すると長野行新幹線高架と並行して上田に到着。流石に上田からはグり−ン車にも数名の乗車があります。上田を出ると次は小諸に停車します。小諸ではグリーン車の乗車はありません。小諸を出ると小海線と分かれて浅間山の麓を回り込んで走ります。浅間山は残念ながら完全な形では見る事ができませんでした。列車は、中軽井沢に停車して軽井沢に到着します。
 軽井沢では、先頭にEF63形電気機関車を連結するため3分ほど停車します。先頭部での連結作業を見学します。この光景も後10日ほどで終了となるのが信じられません。大勢の方に見守られながら連結作業は終了。発車のベルが鳴る中を車内へ戻るとグリーン車も半分ほどの席が一気に埋まっています。軽井沢からは、EF63形電機機関車を先頭に碓氷峠をゆっくりと下ります。189系の空気バネもパンクさせて空気を抜いているので乗り心地も悪く振動も大きくなります。ただ、この乗り心地こそが長野を出て首都圏へ向かう儀式みたいなものです。矢ヶ崎を過ぎてトンネルを何回も通過すと熊ノ平を通過します。再びトンネルを何回も通過します。めがね橋を見ながら碓氷川の橋梁を渡ります。かなり薄暗いのでめがね橋もはっきりとは見えません。再び何回かトンネルを通過して丸山付近を通過します。碓氷峠区間は、トンネルと橋梁以外は誰かしらが撮影しているのが見えるほどの盛況ぶりでした。残り少ない碓氷峠区間の独特な乗り心地を楽しみ横川に到着。横川では、EF63形電気機関車を切り離しますがホームが狭く大して撮影できないだろうと車内で過ごします。今日は、グリーン車に乗車しているので床下のコンプレッサーが勢いよく回り始める体験もできました。軽い振動でEF63形電気機関車が切り離されると、床下からカラカラと音がし出してコンプレッサーが回り始めます。車内の方は、グリーン車も満席となり私の隣も人が来ました。車内放送では、盛んに上野には入らない旨の放送をしています。
  
 
 碓氷峠を越えてEF63形電気機関車を切り離して再び身軽になった特急マリンシティーあさま号は夕闇迫る上州路を快調に進みます。高崎で前後の普通車から僅かな降車がありましたが、指定席では空いた席だけ人が乗ってくる状態のようです。高崎でも、上野には入らない旨の放送が流れていました。ちなみに高崎駅の発車表示は「マリンあさま 17:19 横浜」でした。珍しいので撮影しましたが結果的にはぶれていて何が何だか解りませんでした。高崎からは高崎線に入り快調に飛ばします。高崎を出ると首都圏も目前となり車内の空気が和んできます。長野を朝出る特急あさま号もそうですが、高崎を出た後の大宮までの車内の和んだ雰囲気が一番好きです。列車は、途中熊谷に停車して高崎線を進みノロノロ運転になった頃に大宮に到着します。大宮到着前から大宮停車中まで、しつこいぐらいに新宿経由の横浜行で上野には入らない。と放送しています。上野方面の乗客なのか大宮までの乗客なのか解りませんが大宮でグリーン車からも3割程度の方々が降車しました。
 大宮からは東北貨物線に入ります。いつも特急あさま号で走る東北本線とは線路が1路線分隣を走ります。ただそれだけですが、189系から見る車窓は線路1本違うだけでもかなり変わります。列車は、快調に東北貨物線を走行し荒川を渡り東京都に入り赤羽を通過します。列車は、京浜東北線と並行して上中里駅を通過して右へカーブするとすぐに山手線の駒込駅を通過します。夜間で景色が見えず解り難いですが、列車は東北貨物線から山手貨物線に入りました。しばらく山手線と並行すると左へカーブして池袋に到着します。グリーン車から池袋で降りる人は居ませんでした。池袋を出ると埼京線と線路を共有して都心部を南下します。西武新宿駅が見えてきて大ガードを跨ぐと列車は新宿に到着します。
  
 新宿駅で半分以上の乗客を降ろした特急マリンシティーあさま号は夜の都心を大崎へ向けて南下します。もう完全に日没となり都心の夜景を見ながらの乗車です。車内販売も新宿で下車してしまったので横浜へのラストは少し寂しいような雰囲気です。グリーン車は、新宿での下車が多かったのですが、指定席や自由席は空席は多いもののそれでも結構な人が乗車していました。夜の都心を進み何処を走っているのか良く解りませんが、大崎の先で信号停車して列車の上を横須賀線が通過した後に横須賀線に入り終点の横浜駅に向かいます。横浜駅には9番線に到着します。すぐに回送になる放送が流れる中を人混みの間から何とか撮影すると189系N106編成は3分ほどで大船へ回送されました。すぐに、旅の余韻を拭き消すかのように後続の横須賀線が入って来ました。
 
 
U.横浜から大宮まで189系あさま号の旅

 長野から横浜まで特急マリンシティーあさま号の乗車を楽しんだ翌日(9月21日)は、特に乗車の予定はありませんでしたが早起きできたので東海道本線で横浜へ。念のため窓口で大宮までの指定席の空席照会をすると新宿から満席との事。せっかく横浜まで来たので189系特急あさま号では貴重となる横浜から大宮まで自由席に乗車することにしました。昨日、長野を発って翌日の今日帰るわけにもいかないので乗車は大宮までで十分です。9日後の特急あさま号最終日と10日後の新幹線あさま号の初日の事を考えればお金もありませんし。
 
  
 特急マリンシティーあさま号の横浜駅は発車ホームは東海道本線の8番線です。横須賀線ホームと違い余裕があるので8時20分過ぎに藤沢から回送で入線してきました。編成は昨日と同じ189系N106編成です。ヘッドマークはシール式の専用マークですが、方向幕は「特急あさま・長野」のいつもと同じ表示です。横浜駅に189系あさま色が入るのは珍しいので一般の方も結構撮影しています。
 撮影を終えて自由席の車両へ行きますが、8号車の自由席は結構空いてました。車内放送では繰り返し指定席・グリーン席は満席と放送していました。指定席に乗客が集中した分自由席は空席が多いです。
 横浜を8時30分定刻に発車した特急マリンシティーあさま号は、昨日とは異なり横浜駅東海道本線ホームから発車してを東京方面へ走行します。私が乗車した自由席は半分も乗車しておらず窓側でも空席がある状態でした。189系あさま号で東海道本線の景色を見るのは不思議な感じです。列車は、いつの間にか転線していて横須賀線を走行しています。鶴見川を渡ると東海道本線と分かれ本格的に横須賀線を進みます。新鶴見信号場を見ながら新川崎駅を通過します。その後、東海道新幹線と並行して多摩川を渡り東京都に入りますが、しばらくは東海道新幹線と並行して住宅街を進みます。今日は休日ダイヤで余裕があるのかノロノロ運転と言う訳では無く普通に進んでいます。189系から横須賀線の車窓を見るのも不思議なものです。蛇窪信号場で横須賀線と分かれて大井工場を見ながら低速で大崎支線を進みます。やがて大きくカーブして先ほど走行した横須賀線と並行していた東海道新幹線の下を潜り右手から205系が走行する山手線の線路が近づいてくると大崎駅を通過します。大崎から先は山手貨物線を走行し山手線と並行して都心部を走ります。渋谷を通過して原宿の宮廷ホームを過ぎると山手線より1段低いの線路を走行し中央線が上部を跨ぎ代々木を通過すると新宿に到着します。
  
 新宿では大勢の方が列車を待っていました。自由席もかなりの乗車がありましたが辛うじて相席は免れました。自由席も7割程度の乗車率となります。新宿から先は、臨時特急あさま号(季節を含む)で新宿発着の実績があるので特に目新しい事も無いのですが、大宮までは乗車しておこうと思います。埼京線の電車に挟まれているのか若干のノロノロ運転で池袋へ。池袋での乗車は少なく列車は埼京線と分かれて山手線と並行して山手貨物線を進みます。駒込を通過すると山手線の下を潜り左へカーブします。もう、列車は東北貨物線に入り上中里駅付近を通過しています。ここからは速度が少し上がり快調に進みます。王子の手前から東北本線・京浜東北線が並走します。走行する線路が隣なだけで特急あさま号と変わりはありません。ただ、線路1路線分隣なだけで景色は全然違って見えます。赤羽を通過すると荒川を渡り埼玉県へ。浦和を過ぎてしばらく京浜東北線との競争を楽しんだりしていると大宮駅に到着します。大宮からは、完全に特急あさま号と列車名が少し違うだけで同じなので大宮で下車。大宮からも結構乗ったようで私も席も違う人が座っていました。
 長野へ向かう特急マリンシティーあさま号を見送り家へ戻りました。特急あさま号最後の月に長野から横浜まで直通の特急マリンシティーあさま号で旅ができるとは思いませんでした。おそらく学生時代最後の特急あさま号の思い出になることでしょう。

   
※画像は全て写真スキャンです。文書は当時の旅行記録(ワープロ打ち印字記録)を編集しました。